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営業手法として誰もが思いつくのが営業電話。いわゆるテレアポやテレマーケティングと呼ばれる手法ですが、Web全盛の現代では苦しいと言わざるを得ません。かつての営業電話が持っていた情報提供という価値の大部分がウェブサイトに代替されてしまい、電話を受ける側のメリットが無いためです。以下では具体的なデータを参照しつつ、テレアポ・テレマーケティングの現状と可能性について詳しく見ていきます。

古いデータになってしまいますが、経済産業省「平成15年特定サービス産業実態調査」にテレマーケティング業についての報告があります(集計方法の変更により、テレマーケティング業単独での報告は平成15年が最後)。この報告によると、平成15年のテレマーケティング業全体の年間売上高1,944億円のうち、最大の構成比率になっているのは「消費者相談窓口」で38.2%です。ここで検証しようとしている営業電話・テレアポに関連するものとしては「販売促進」の18.9%しかありません。

この傾向は現在でも続いていると思われます。一般社団法人日本コールセンター協会が会員企業に対して行った「2017年度テレマーケティング・アウトソーシング企業実態調査」では、電話業務におけるインバウンド・アウトバウンドの比率(売上ベース)という調査項目について、「アウトバウンドのみ」と答えた企業は1社も無く0%、「アウトバウンドの方が多い」という回答でも14.2%に過ぎません。

電話を使った顧客とのコミュニケーションの多くはカスタマーサポートのような「顧客側からの問い合わせへの対応」に価値があり、アウトソーシング会社の主力商品になっています。一方、販売者側から顧客にアプローチするテレマーケティングは15年前も今も傍流であるということが読み取れます。

テレアポ・テレマーケティングの弱点

現在ほどインターネットが普及していなかった時代は電話やFAXが主要な通信手段でした。そのため、電話を受ける顧客にとっても営業電話は情報源としての価値があり、「今は興味無いけどそのうち必要になるかもしれない」という期待から話を聞いてくれます。

しかし、情報提供メディアとしての機能がウェブサイトに取って代わられ、「必要な情報は必要な時に検索すれば良い」という考えが常識になったことで、いきなり掛かってきた営業電話の話を聞く顧客側のメリットが無くなってしまいました。

メリットが無いうえに顧客の作業を中断させる営業電話は迷惑でしかなく、電話を仕掛けた企業のブランドイメージは悪化します。ブランドは商品価格を高く保つための大事な要素ですから、テレアポ・テレマーケティングによって売上高はおろか利益率まで下がるリスクがあります。

Webと掛け合わせて活かす!

自社のウェブサイトによるマーケティング活動を補完する手段としてテレアポ・テレマーケティングを運用することで、それぞれの価値をさらに高めることができます。

ウェブサイトを使うことで様々な検討段階にいる顧客に情報を効率的に届けることができ、さらに訪問者がいつ・何回・どのページを見たかというデータを取ることができます。そのデータを分析することで、ある顧客がどの商品のサポートを欲しているのかや、どのカテゴリーの商品に興味を持っているかを把握するのは難しいことではありません。既存顧客であれば面識がありますから、商品の特別なサポートやセミナー、デモンストレーション等のオファーをする電話をこちらからかけても不自然ではありません。電話を受けた顧客も、ちょうど関心があるところに営業電話が来るため、うまくいけば気の利く会社としてイメージアップも期待できますし、特別なオファーをすることでプレミア感も演出できます。

営業電話が嫌われるのは、顧客にとって価値が無いからです。価値あるオファーを提供できるように工夫することで、現代でも効果的なテレアポ・テレマーケティングを行うことができます。

まとめ

営業電話はビジネスにおける電話の利用法としてH15年の時点で既に傍流にあり、情報提供という価値もウェブサイトに代替されてしまったため、やみくもに行うと売上が伸びないばかりかブランドイメージの毀損を通じて利益率さえ悪化しかねません。そこで、ウェブサイトによる顧客情報の収集・分析を前提としたテレアポ・テレマーケティングの運用体制を作ることで、電話を受ける側が価値を得られる工夫を行うことができ、現代でも通用する営業手法に転換することができます。

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