マーケティングデータを活用するには、基本的な分析方法を知っていた方が便利です。こんかいは、データに関する基礎知識と、3つの分析手法をご紹介します。売上アップにつながるヒントが必ず得られるはずです。
詳しく見ていきましょう。
勝手に溜まっていくデータ
マーケティングデータと言っても、難しく考える必要はありません。よく見直してみると、勝手に溜まっているデータがあることに気がつくはずです。
売上伝票のデータがシステムに溜まっていませんか?銀行のインターネットバンキングシステムにアクセスすれば、入金記録が溜まっているのではありませんか?顧客リストはどうでしょうか?
それらの勝手に溜まっているデータも、少し手をかけてあげれば、アイデア次第で充分に活用することができます。
定量データと定性データ
具体的な手法の前に、データには2種類あることを覚えておきましょう。
ひとつは定量データ(quantitive data)と呼ばれる、数値化して把握できるデータです。売上金額や件数、顧客の年齢などが定量データになります。定量データは、統計的な分析手法を使うことで客観的な分析を行うことができます。ここでいう「客観的」とは、「誰がやっても同じ結果が得られる」という意味です。また、グラフによる視覚的な表現もしやすいことから、プレゼン向きのデータと言えます。
もうひとつは定性データ(qualitative data)といい、数値化の困難なデータです。商品についての顧客の感想などは定性データの典型です。定性データは統計的な分析には向かないため、主観的な分析を行う場面が多くなります。したがって、分析を行う人の知識や経験によって、分析から得られる成果にも違いがでてきます。一方で、定性データには定量データからは得られない具体的なストーリーが含まれていることが多く、探索的な分析向きと言えるでしょう。
記述統計
では、具体的な分析手法を見ていきましょう。第一は記述統計という手法です。定量データに触れるときは、まず試してみましょう。
統計というと難しそうですが、なんてことはありません。「データの平均値を確認する」という、誰でもやったことのある分析も立派な記述統計です。具体的には、データについて下記のようなポイントをチェックしてください。
- データの平均値を計算する
- データの最大値を確認する
- データの最小値を確認する
- データの最頻値(一番よくでてくる値)を確認する
- データの中央値(それ以下の値と以上の値の数が同じになる値)を確認する
- 棒グラフや折れ線グラフなど、グラフにしてみる
上記は最も基本的な記述統計の分析で、すべてエクセルで簡単に実行できます。
特に、グラフを用いて視覚的にデータを確認することはプロのデータアナリストや研究者でも欠かさずやっている分析ですので、面倒がらずに是非やってみてください。
記述統計によって数学的に要約されたデータは、チームでデータについての考察を行う際の共通の前提になり、建設的な議論を行いやすくなります。
キャラクターシート
キャラクターシートは顧客の名前や性別、年齢、住所、職業、子供の有無、寄せられた感想など、様々なデータを表の形にまとめたものです。
アンケートの結果などをキャラクターシートにまとめると良いでしょう。
定量データと定性データの両方を同時に扱うことができるのが特徴です。「女性からは好意的な感想が多いが、男性はイマイチ」とか「お客さんの多くは××市から来ている」といったような、「量と質」の両方にまたがる洞察を得ることができます。
定性データの取り扱いが可能になった分、記述統計に比べれば分析の客観性は下がりますが、複数人で分析を行うことによって様々な切り口から顧客の実態に迫ることができるでしょう。
ペルソナ法
ペルソナ法は、データに基づいて「典型的な顧客像」を架空の人物(ペルソナ)として具体的に描き、その人物の日常生活と自社商品の購入に至るストーリーを記述することで、顧客についてのリアルなイメージを得る方法です。
ペルソナについては、名前はもちろん、年齢、住所、職業、家族構成、学歴、収入、貯金額、趣味、よく読む雑誌、通勤通学路から何時頃に就寝しているのかまで、具体的な設定をデータに基づいて考えます。データから得られた典型的な顧客像にとても良くマッチする一例を架空でつくるのです。
ペルソナが設定できたら、彼・彼女が日常生活をどのように過ごし、どのような事を考えながら、自社の商品の購入に至ったのかを短い小説のように書いてください。こうして具体的に顧客の姿を考察することで、商品開発や広告宣伝に活かせるヒントを得ることが、ペルソナ法の目的です。
ペルソナ法は定性データを扱う際に最も力を発揮し、データがもつ豊かな情報を損なうことなく分析に活用することができます。ただ、今回ご紹介する手法の中で最も主観的な分析になり、慣れるまでは上手く洞察を引き出せないかもしれません。とはいえ、慣れてしまえば他の分析では得られないような、斬新な成果を挙げることも可能です。
まとめ
知らずしらずのうちに溜まっているデータをマーケティングに活用するため、最も基礎的な手法として「記述統計」「キャラクターシート」「ペルソナ法」の3つをご紹介しました。
どれも簡単な手法ですが、これらの分析をきちんと行っている会社はまだまだ少数です。ライバルをリードできるチャンスですから、まずは試しやすいところから取り入れてみてください。