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インターネット無しでの集客が考えられなくなって久しい現代ですが、古典的な手法である「インターネット広告」を取り囲む環境が変わろうとしています。インターネット広告の今後と、それによって誰にメリットがあるのかを検討します。

まずインターネット広告について確認しておきましょう。

最も有名なのはGoogle Adwordsを代表とするリスティング広告(検索連動型広告)です。ユーザーが検索エンジンに入力するキーワードに関連した広告を表示するもので、検索結果にまぎれて「広告」というアイコンがついたリンクが並んでいるのを見たことがあると思います。ユーザーがリンクをクリックすると、クリック数に応じて広告主が課金される仕組みになっています。

また、純広告もよく目にすると思います。サイト内の決められた枠を一定期間買い取り、テキストや画像、動画で広告を表示するもので、Yahooのトップページが代表例です。純広告は駅の看板広告など従来型広告と最も近い性格のもので、インターネット広告の中でも最も古典的な手法です。

その他、アフィリエイト広告や動画広告などもありますが、インターネット広告のイメージは概ね掴んでいただけたと思います。

アドブロックの需要

ここからが本題ですが、近年インターネット広告にとっては逆風となる流行や技術が出てきています。

まず挙げたいのがアドブロックの需要が高まり、その需要に応える商用サービスが普及しつつあることです。検索エンジンの精度が高まり、どこでもインターネットに接続できるスマートフォンが普及したことで、「必要な情報は必要になった時に検索する」という習慣が当たり前のものになりました。これにより、インターネットの普及前は広告が持っていた「情報提供」の価値は著しく失われます。

最も影響を受けたのは訪問営業やテレマーケティングといった手法です。広告宣伝を受ける消費者にも「いつか必要になるかもしれないから、今この話を聞いておこう」という意図があったために成立していた手法ですが、今や情報はオンデマンドで得るものになり、今や非効率な営業手法の代名詞です。

しかし、広告の情報提供価値の消失は、皮肉にもインターネット広告自身にもダメージを与えます。検索結果に紛れ込むリスティング広告や、閲覧しているウェブサイト上に現れる純広告は、ユーザーのウェブ体験の質を損なう不快な要素になります。特に画面が小さく、通信容量や速度に制限のかかるスマートフォンでウェブサイトを見る場合には、インターネット広告は非常に邪魔な存在です。

こうした背景から、インターネット広告を非表示にするアドブロックの需要が高まり、現在ではパソコンはもちろん、スマートフォンでもアドブロックを行うアプリケーションが販売され、普及しています。

検索を通さないWeb体験

情報収集にはニュースアプリを使い、買い物にはAmazonのアプリを使うという人は多いのではないでしょうか。今、人々の情報源の中心が検索エンジンから個別のアプリへと移行しつつあります。

アプリによってユーザーと情報が直接結び付けられ、検索エンジンが介在しなくなることから、リスティング広告はユーザーに到達することができません。また、リスティング広告のない情報収集を体験したユーザーは、以前にも増してリスティング広告を不快に感じることでしょう。

また、ニュースアプリ等のビジネスモデルにおいても、「無料プランなら機能制限+広告表示。有料プランなら機能制限なし+広告非表示」といったものが主流です。アプリを提供している会社は有料プランのユーザーを増やしたいわけですから、広告主とは利害が不一致の関係になります。アプリが魅力的になればなるほど、有料プランのユーザーが増え、広告は排除されていくというわけです。

コンテンツの優位性

インターネット広告にとっての逆風は、広告費を捻出できないスモールビジネスにとっては追い風となります。

インターネット広告も、結局は広告です。「お金を出せば出すほどメディアへの露出が増えて、ターゲットに到達しやすくなる」という構造は変わりません。必然的に、多額の広告費を長期間維持できる大資本が有利になります。現に、Yahooのトップページで見る広告は大企業のものばかりですよね。

広告の影響力が弱くなる一方で、「コンテンツ」の持つ優位性は高まっています。検索エンジンの精度向上やニュースアプリ等のレコメンド機能の向上は、すべて「ユーザーが求めているコンテンツを的確に届ける」ことを目的としています。

広告費が用意できず、商品のラインナップも少ないスモールビジネスでも、インターネット上に価値あるコンテンツを公開すれば、検索エンジンやレコメンド機能が、そのコンテンツを欲しがっているユーザーを連れてきてくれるということです。しかも、検索エンジンやレコメンド機能への技術投資はGoogle等の大企業が勝手に負担してくれるわけですから、これほど有利な状況は無いでしょう。

いわゆるコンテンツマーケティングの優位性は、今後どんどん強くなっていくと考えられます。

まとめ

以上、近年の動向を確認しつつ、広告の影響力が低下する一方でコンテンツの優位性が高まるであろうという見通しを述べました。また、この環境はスモールビジネスにとって有利であるということもご理解いただけたと思います。

スモールビジネスにとって「いかに有益なコンテンツを自社サイトに用意するか」が生死を分ける重要な要素になると予想されます。

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