あなたのビジネスが何であるかに関係なく、売上を上げる方法は6つしか存在しません。
「いろいろやったけど効果が出ない」「売上アップのために何から手をつけたら良いか分からない」というお悩みをお持ちであれば、この記事はまさにうってつけです!
この記事では、売上を上げるために必須となる知識の解説から始めて、具体的に行動に移すための道筋まで示しています。
場当たり的な施策の連発から卒業し、「仕組みとしての売上アップ」を実現するための取り組みを今日から始めましょう!
この記事の目次
売上を上げるための大前提
売上を上げていく仕組みを作るために、まず「売上はどうやって作られているのか?」を改めて整理しておきましょう。
これから説明する売上の構造は売上の定義そのものです。BtoCビジネスかBtoBビジネスかを問わず、どんな商売でも売上アップ戦略を考える上で確実にスタート地点となります。
ある期間、例えばある1ヶ月間における売上高は、その月の「顧客数×平均顧客単価」で計算できます。
式1:当月の売上高 = 当月の顧客数 × 平均顧客単価
この「当月の顧客数」は、「前月の顧客数 + 新規顧客数 – 離脱顧客数」に分解できます。
式2:当月の顧客数 = 前月の顧客数 + 新規顧客数 – 離脱顧客数
前月の顧客数から今月は買ってくれなかった離脱顧客の数を引けば、継続して取引してくれているリピーターの数が分かります。そこに新規顧客数を足せば、当月の顧客数になりますね。
さて、最初の数式に戻りましょう。「平均顧客単価」は「1人あたり平均購買回数×1回あたり購買金額」に分解できます。
式3:平均顧客単価 = 1人あたり平均購買回数 × 1回あたり平均購買金額
平均してお客様1人あたり何回のお買い物があったのかが、当月の「1人あたり平均購買回数」になります。これに、1回あたり平均していくら買ってくれたかを示す「1回あたり平均購買金額」を掛ければ、当月の平均顧客単価を計算できます。
そしてさらに「1回あたり平均購買金額」は「購買商品数量×平均購買商品単価」に分解できます。
式4:1回あたり平均購買金額 = 購買商品数量 × 平均購買商品単価
取り扱い商品が1つしかないビジネスというのは例外的です。自社が取り扱う複数の種類の商品をまとめ買いしてくれるお客様も多いでしょう。これを1つの数字で把握する指標が「購買商品数量」です。例えば「A商品を8個、B商品を2個」買ってくれたら、購買商品数量は10と数えます。
この「購買商品数量」で「1回あたり平均購買金額」を割り算すれば、「平均購買商品単価」を算出できます。「平均購買商品単価」は、買われた商品を1種類と仮定した場合に、その架空の1商品の単価がいくらになるかを示しています。「100円のA商品が8個、300円のB商品が2個」売れたとすれば、「平均購買商品単価」は「(100円 × 8個 + 300円 × 2個) ÷ 10個 = 140円」となります。
そして最後にもう1つ、「購買商品数量」は「購買商品種類数×1種類あたり平均購買個数」に分解できます。
式5:購買商品数量 = 購買商品種類数 × 1種類あたり平均購買個数
この「購買商品種類数」はお客様が買ってくれた商品の種類の数です。「A商品を8個、B商品を2個」買ってくれた場合には、「購買商品種類数」は2種類になります。
「購買商品数量」を「購買商品種類数」で割り算すれば、「1種類あたり平均購買個数」が計算できます。「A商品を8個、B商品を2個」の事例で考えれば、2種類の商品で10個が売れたわけですから、1種類辺り平均して5個売れた計算になりますね。
さて、ここまで「売上」を構成する要素を詳しく分解してきました。様々な要素が出てきましたが、その関係をまとめると次のようになります。
- 式1:当月の売上高 = 当月の顧客数 × 平均顧客単価
- 式2:当月の顧客数 = 前月の顧客数 + ①新規顧客数 – ②離脱顧客数
- 式3:平均顧客単価 = ③1人あたり平均購買回数 × 1回あたり平均購買金額
- 式4:1回あたり平均購買金額 = 購買商品数量 × ④平均購買商品単価
- 式5:購買商品数量 = ⑤購買商品種類数 × ⑥1種類あたり平均購買個数
売上を上記の5つの式で分解していくことにより、①〜⑥までの6つの要素を特定することができました。
つまり、「売上を上げる」ためには、「6つの要素のどれかを改善する」必要があるということです。「売上を上げよう!」というだけでは問題が漠然としすぎていて何から手をつけるべきか分かりません。しかし、売上の構成要素を分解することで「①新規顧客数を増やそう」「③1人あたり平均購買回数を増やそう」といったように、より具体的な指針を得ることができるようになるのです。
ところで、統計学や数学に詳しい方は、この6つの要素が「独立変数」とは言えないことに気がつかれたかも知れません。要するに、それぞれの要素の間に「ある要素の値を増やすと、連動して別の要素の数字が減ってしまう」といったような関係が存在する可能性があるということです。
常識で考えても、商品単価を上げれば買ってもらえる個数は減るでしょうし、新規顧客ばかり優遇したせいで新規顧客が増える以上に離脱顧客が増えてしまうということもあるでしょう。
確かに、6つの要素は連動しあっている可能性が高いでしょう。しかし、仮に最新の統計学的技法を駆使しても、6つの要素の関係性を具体的・科学的に突き止めることは困難です。
したがって、この6つの要素は互いに影響し合うことも念頭に置いた上で、6つに分解した指標をベースとした戦略を練り、売上アップのための具体的な行動を起こしていくことが、現実的・実務的な方針になります。
売上を上げる6つの方法
前節で、「売上を上げる」という問題を「売上を構成する6つの要素のどれを上げるか」という問題に分解することができました。売上という数字の定義上、売上アップの方法は6種類しかないのです。
この節では、6つの方法それぞれについて具体的に検討します。
1.新規顧客を増やす
これまでに取引のなかった新しいお客様に商品を買ってもらえれば、売上を上げることができます。どんなに熱心なリピーター(ブランドロイヤルティの高いお客様)であっても、時間の経過とともにいつかは離脱してしまいますので、新規顧客の獲得はどんなビジネスでも重要な課題となります。
具体的には、「広告を打つ」「ご新規様キャンペーンを実施する」といった一般的な販促施策が当てはまります。自社ホームページのSEO対策(検索エンジンで検索結果上位に自分のホームページを表示させるための取り組み)も、新規顧客を増やす施策です。
あるいは、「これまでとは全く別のターゲット層に向けた新商品を開発する」といった商品の多角化も新規顧客を増やす施策と解釈できます。
ひとくちに新規顧客と言っても、「従来と同じターゲット層の深堀り」と「全く新しいターゲット層の開拓」に分けられるのです。
新規顧客を増やす方法が向いている業種は、ネット販売業(Eコマース)や製造業が挙げられます。
ネット販売は顧客の住所を問わず、どんどん新規顧客を深堀りすることができます。また、製造業のような「モノを作って売る」ビジネスであれば、製品のバリエーションを増やして新規顧客を開拓したり、小売店と提携して新たな地域に進出したりすることも比較的簡単です。
これに対して、オフラインの小売店や飲食店、美容室などは、新規顧客を増やしづらいと言えます。もっと正確に言えば「新規顧客には限界がある」ということです。
特に飲食店や美容室のような日用的サービス業では、ターゲットとなりうる消費者は近隣地域の人口によって限界があります。この限界値をあげようと思えば、新しい地域にお店を増やすしかありません(この方針を徹底しているのがコンビニエンスストアですね)。
町医者や歯医者、接骨院のような専門サービス業では「新しい地域にお店を増やす」といっても、その専門技術を持つ人材の確保が難しいため、より一層「新規顧客の限界」が深刻な課題となります。
新規顧客の獲得については、下記の記事でさらに深く掘り下げています。あわせてご覧ください。
2.離脱顧客を減らす
一回お買い物してくれた顧客が、来月以降も継続して買い物してくれるリピーターになれば、売上を上げることができます。離脱顧客を減らしてリピーターの人数を増やすことは、顧客基盤を強固にして経営を安定させるためにも重要なポイントです。
マーケティングの世界では、「既存顧客にもう一回買い物してもらうためにかかる販促コストは、新規顧客を1人獲得するためにかかる販促コストの5分の1である」という「1:5の法則」が知られています。離脱顧客を減らし、熱心なリピーターが増えれば、売上をアップと販促コスト削減が同時に達成されて利益率も上がっていくのです。
離脱顧客を減らしてリピーターを増やすための施策としては「ポイントカードの発行」「DM(ダイレクト・メール)等による継続的な顧客コミュニケーション」などが人気です。顧客のファン化のためのコンテンツ・マーケティングなども、検討対象になります。
離脱顧客を減らす方法が向いている業種は「1.新規顧客を増やす」で「向いていない業種」に挙げられていた飲食店や美容室、歯医者や接骨院などになります。
日用的なサービス業は、「日用」という言葉の定義からして、消費者の生活シーンの中で繰り返し需要が発生します。この需要にしっかり応えていけば、お客様と長期的な関係を築くことができます。
逆に、離脱顧客を減らす方法が向いていない業種の典型は冠婚葬祭ビジネスです。お葬式や結婚式など、1人の消費者の冠婚葬祭需要の回数は決して多くありません。また、自動車の買い替え需要のように定期的に発生するものでもないため、適時適切なコミュニケーション戦略を実践することも難しいでしょう。
3.1人あたり平均購買回数を増やす
お客様1人あたりの購入回数を2回から3回へ、3回から4回へ、というように増やしていくことができれば、売上を上げることができます。この方法は「2.離脱顧客を減らす」と似ていますが、そちらは「リピーターの人数を増やす」ことが目標だったのに対して、こちらは「リピーターのリピート回数を増やす」ことが目標です。
具体的には「定期購入・継続購入商品の販売」「回数券の発行」「季節ごとにキャンペーンを行う」「関連商品の推薦(クロスセル)」などの施策が挙げられます。
特に「回数券の発行」はサービス業において重要です。回数券を発行して将来のサービスまで数回分をまとめ買いしてもらえれば、売上アップだけでなく資金繰りまで改善することができます。
さて、1人あたり平均購買回数を増やす方法が向いている業種は、商品がバリエーションに富んでいて、商圏が狭い業種です。地域のスーパーマーケットが典型です。
生鮮食品からちょっとした家電用品まで、スーパーマーケットの取り扱い商品は多種多様です。それはつまり、「スーパーマーケットに行く理由がたくさんある」ことを意味しています。「今日はお肉を買いにスーパーに行こう」「今日は電池を買いにスーパーに行こう」など、そのお店を利用する理由がたくさんあれば、自然に1人あたり平均購買回数は増えていきます。
また、スーパーマーケットは基本的に地域密着で、商圏は比較的狭いです。同じ小売業でも百貨店は商圏が広く、遠方からもお客さんが来ます。百貨店には何でも揃っているので「行く理由」はたくさんありますが、遠方のお客様に「今日も明日も来てください」とキャンペーンを打つのは現実的ではありませんね。「物理的に距離が遠い」お客様を相手にする商売よりも、そういった「取引コスト」の低い近所のお客様を相手にする商売の方が、1人あたり平均購買回数を増やしやすいのです。
一方、この方法が向いていないのは、商品にバリエーションをつけられず、利用シーンが限定される業種です。あるいは、「ターゲットが生活者として持つ多様な需要の特定の部分にしかアピールできない業種」とも言えるでしょう。
例えばステーキ専門店は、基本的には「ステーキ」の単品です。ちょっと贅沢なランチかディナーでの利用がメインになり、「ステーキ食べたい」という需要にしか応えられません。いくらステーキが好きな人でも、毎日ステーキばかりで平気な人は多くありませんから「リピーターのリピート回数」を大幅に伸ばすのは難しいです。
こういった業種では、リピート回数の追求よりもリピーターの人数を増やすこと。つまり「2.離脱顧客を減らす」施策を徹底した方が良いことが多いです。既に毎週ステーキを食べに来てくれている人に毎日ステーキを食べてもらう作戦を考えるよりも、たまたま1回来てくれたお客様に確実にもう一回食べに来てもらうにはどうしたら良いかを考えるほうが現実的ですよね。
4.平均購買商品単価を上げる
買ってもらえる商品一つひとつの単価を上げて顧客単価を上げれば、買ってもらえる個数が変わらない限り売上を上げることができます。顧客単価の向上は売上アップのみならず利益率の改善にもつながります。「売っても売っても利益が残らない」という状況を回避するためにも、平均購買商品単価の向上は常に模索すべきです。
平均購買商品単価を上げる具体的な施策は、「値引きキャンペーンを抑制する」「価格戦略を見直す」「上位商品の推奨(アップセル)」が挙げられます。
特に「値引きキャンペーンを抑制する」こと、言い換えれば「値引き以外の販促施策を講じていく」ことは重要です。値引きキャンペーンを頻繁に行っていると、消費者は値引き後の価格が適正価格と感じるようになります。値引き後の価格に慣れていってしまうんですね。
アパレル業界などが頻繁に値引きキャンペーンを行っても平気なのは、ファッション商品の陳腐化が早いからです。季節ごとに移り変わるファッションの流行に合わせ、商品を短いスパンで入れ替えることを前提としたビジネスモデルだからです。
息の長い商品を扱っているビジネスで値引きを乱発すれば、目先の売上を立てることはできても長期的な売上げアップ・利益率向上は難しくなります。
さて、平均購買商品単価を上げる方法が向いている業種は、あまり購入する機会のない比較的高額な商品を扱うビジネスです。モノで言えば自動車やパソコンのような耐久財、サービスで言えば旅行や冠婚葬祭などが典型です。
消費者がこうした商品を買う場合、時間を掛けてしっかり比較検討する傾向が見られます。「この商品が他より高価格なのはなぜか?」を消費者自らが知ろうとしてくれますので、企業側で情報発信を行っておくことで、高単価に納得してもらいやすくなります。
一方、平均購買商品単価を上げる方法が向いていないのは、安価な日用品を扱っているビジネスです。スーパーマーケットや書店のような小売業が典型です。
消費者は安価な商品を買うときには、「しっかり比較検討しよう」「よく調べてから買おう」とはなりません。低リスクな買い物においては「一番価格が安いのはどれか」「前買ったのはどれか」「何となく好きなのはどれか」など、分かりやすく直感的な理由で意思決定を済ませます(このことは消費者行動研究に多大な影響を与えた「精緻化見込みモデル(Elaboration Likelihood model: ELM)」という消費者行動モデルで説明されています)。
この傾向は日用品の場合さらに顕著になります。「洗濯洗剤」「シャンプー」「ティッシュ」など、日用品は消費者の頭の中で明確にカテゴリー化されています。しかも非常に見知ったカテゴリー、自分がよく理解しているカテゴリーとして記憶されていますから、わざわざ「しっかり調べよう」と考える動機が存在しません。
5.購買商品種類数を増やす
買い物一回あたりの商品の種類を増やすことができれば、売上を上げることができます。最も分かりやすいのは飲食店で、「メイン料理だけでなくデザートも」「食べ物だけでなく飲み物も」と、いろいろな商品を買ってもらうことで顧客単価が上昇し、売上がアップします。
具体的な購買商品種類数を増やす施策には、「関連商品の推薦(クロスセル)」「取り扱い商品数を増やす」「セット商品の開発」などが挙げられます。
購買商品種類数を増やす方法が向いている業種は、先程も触れた飲食店を筆頭に、多様なオプションを用意できる業種です。また、ネット販売業のように、理論的には無限に取り扱い商品を増やすことができる業種も、この方法が向いています。
購買商品種類数を増やす方法が向いていないのは、顧客の課題が明確すぎる場合です。例えば歯医者に虫歯を治すために来ている顧客は、「虫歯の治療」だけが目的ですので関連商品の推薦にはあまり耳を貸してくれないでしょう。
6.商品1種類あたり平均購買個数を増やす
買ってくれる商品が1種類だけであったとしても、2個、3個とたくさん買ってもらうことができれば、売上を上げることができます。
なお、「まとめ買いを推奨したら、購買頻度が下がってしまって結局意味が無いのでは?」と思われるかもしれませんが、消費者心理から考えてその可能性は低いです。例えば、歯磨き粉がチューブいっぱいに入っている時と、少なくなってきて「忙しいけど早く買い足しに行かなきゃな」と思っているときとでは、1回の歯磨きに使う歯磨き粉の量が変わっているのではありませんか?
まとめ買いしてストック大量がある場合でも「節約して使おう」と真剣に考える人はあまり多くありません。
さて、具体的な施策としては、「まとめ買いの推奨キャンペーン」「まとめ買いセット商品の開発」「回数券の発行」「新たな利用方法の提案による消費量増加の促進」などが挙げられます。
特に「回数券の発行」はサービス業において重要です。回数券を発行して将来のサービスをまとめ買いしてもらえれば、売上アップだけでなく資金繰りまで改善することができます。
商品1種類あたり平均購買個数を増やす方法が向いているのは、長期間の保存が効く消費財を扱うビジネスや、回数券化が可能なサービス業になります。
逆にこの方法が向いていないのは、耐久財を扱うビジネスです。自動車、自転車、家電製品、靴、カバンなど、自分自身が消費者の立場に立って考えた時に「一回の買い物で2個以上は買ってないな」と思われるものは、まとめ買いの推奨が難しいです。
もちろん不可能ではありませんが、スーツ販売のように「2個以上買ってくれたら1個半額!」といったような「大幅な値引き」で勝負することになりがちです。「4.平均購買商品単価を上げる」で述べたとおり、値引きの連発は顧客の「定価」の感覚を引き下げてしまう危険がありますから、慎重に行わなければいけません。
売上を上げるために現状データを確認する
ここまで、売上を上げるための方法を6つに特定し、その詳細を確認してきました。その中で、クロスセルの推奨や回数券の発行など、「ある施策が2つ以上の指標改善に効果がある」というパターンがあることに気づかれた方も多いと思います。
実際に売上げアップの戦略を策定し、例えば「新規顧客を増やすためにホームページを作り込もう!」と決めたとしても、新規顧客は増えずにリピーターが増えたり、顧客単価が向上したりと、想定外の効果があるものです。
こうした「思いがけない影響」を具体的なデータとして確認していく必要があります。データを見ないままイメージだけで意思決定を行っていては、「今月の売上が増えたのは新規顧客向けにホームページを作り込んだからだ!もっと新規顧客を増やすために今度はチラシをまこう」などと勘違いでムラのある投資をしてしまいかねません。
そこで、売上を上げるためにまず最初に手を付けなければならないのは、これまで見てきた6つの指標を具体的な数字で記録していくことです。
まずは月次でデータを収集しましょう。業種によってはデータが入手しづらい指標もありますが、その場合は不正確でも簡便に得られるデータで代用しても問題ありません。継続的に記録すれば、大まかな傾向だけはつかむことができます。
実は「現状のデータを確認する」ことはダイエットと似ています。ダイエットでは、とにかく体重の記録を続けているだけで、何も意識していないのに痩せる人がいますよね。これと同じで、6つの指標を継続的に記録するだけで、何も意識していなくても勘違いが是正され、無駄な投資が減ったり適切な投資が増えたりして、売上や利益が向上することがあります。
本格的な売上アップ戦略を立てるためにも、まずは現状のデータが無ければ始まりません。もし、そういったデータ収集を行っていない方は、さっそく今月からはじめましょう。
売上アップのボトルネックを発見する
売上を構成する6つの要素について、指標として毎月データを集めていけば、「ウチの会社はこの指標が悪いから売上が思うように上がらないのか」というポイント、すなわちボトルネックが見つけられるようになります。データ収集・確認の次は、ボトルネックの発見にチャレンジしましょう。
「新規顧客は増えているのに、離脱顧客が多すぎるから売上が上がらない」「リピーターの数は多いけど、ヘビーユーザーが居ないから売上が上がらない」「ヘビーユーザーも多いし毎回たくさん買ってくれるけど、単価の安い割引品ばかりが売れている」など、個々の企業ごとにボトルネックは異なります。
このボトルネックの発見の際に注意していただきたいのは、業種によっては数字が悪くても仕方ない指標もあるということです。新規顧客を増やしづらい商売もあれば、購買回数を増やしづらい商売もあります。
もちろん、独創的なアイデアでそうした壁を乗り越えてきた会社もたくさんあります。しかし、初めて戦略的な売上アップに取り組む場合には、もっと基本的で取り組みやすい課題が存在しているはずです。まずは確実なところから手をつけて、難しいところは長期的な観点からじっくり取り組むようにしましょう。
自社にとって売上アップの足かせになっているのはどこなのか。これを具体的なデータを根拠にして見つけることができれば、売上アップの実現まであとほんの少しです。
売上を上げる改善計画を立てる
売上を構成する6つの要素について、その具体的な数字をデータとして記録・分析し、ボトルネックの発見までたどり着いたら、いよいよ改善計画を立案して具体的な施策を打っていきます。
適切な計画立案はそれ自体が一大テーマなので別の記事で詳細に解説しますが、KGI・KPIマネジメントの手法がこの場面で活きてきます。
「チラシを出しても効果が出ない…」「ホームページを作り込んでも意味が無かった…」など、色々試しているにも関わらず効果が出なくて困っている企業では、これまでに説明してきたようなステップを全て飛ばして、いきなり施策の実践をしていることが多いです。
ここまで読んで頂いた方なら既にお分かりの通り、本来は「適切なデータを集めて現状を把握し」「データを元にボトルネックを特定し」「改善計画を立てる」ところまでやってから、最後に「施策の実践」があるのです。いきなり施策の実践から始めるのは、目を閉じたままダーツの矢を投げるようなもので、当たらないのが当然で、当たっても偶然に過ぎません。
もし今、手当たりしだいに施策を試しているという方は、いったん落ち着いて、施策全体の見直しを行いましょう。本質的な所から一つひとつ順を追って体系的にマーケティングを行えば、必ず精度の高い施策を打つことができるようになります。売上アップは、その結果としてついてくるようになるのです。
まとめ
この記事では、売上を上げるための大前提となる「売上を構成する6つの要素」の確認から始めました。そして、売上を上げるためには、次の6つの方法しか存在しないことを説明しました。
- 新規顧客を増やす
- 離脱顧客を減らす
- 1人あたり平均購買回数を増やす
- 平均購買商品単価を上げる
- 購買商品種類数を増やす
- 商品1種類あたり平均購買個数を増やす
BtoCかBtoBかを問わず、売上アップのためには、上記の6つの方法しかありません。
こうした前提のもと、実際に売上を上げるための行動を起こすための道筋も説明しました。
まずは6つの指標について現状のデータを集め、継続的に記録することから始めます。
データが集まったらそれを分析し、売上アップの足かせとなっているボトルネックを見つけましょう。
ボトルネックが見つかったら、改善計画を立案し、具体的な施策に落とし込んでいきます。
このように順を追ってマーケティング施策の実践まで結びつけていくことで、精度が高く、ブレない「売上アップ」が可能になるのです。
もちろん、実際にこれを進めようとすると、「データの集め方が分からない」「ボトルネックが見つけられない」「どういう施策が有効なのか分からない」など、問題にぶつかることもあるでしょう。
そうした場合には諦めてしまうのではなく、外部のノウハウを借りることも検討しましょう。私たちcotoLiも月額9,800円〜のマーケティング・コンサルティングを提供しています。
売上アップ戦略を立案・実施する途中で困ってしまった場合には、是非お気軽にご連絡ください。