起業家の年齢と起業のきっかけについて、中小企業庁「2017年版小規模企業白書」から統計データで検証します。
起業家と言えば若くて革新的なビジネスを立ち上げる、華々しいイメージをお持ちかもしれません。しかし、実際は60歳以上の人が起業するパターンが多いのです。
起業のきっかけも、「独創的なアイデアがあるから」というのは、全く主流ではありません。
詳しく見ていきましょう。
この記事の目次
起業家の年齢
さっそく、起業時の年齢を見てみましょう。下のグラフは、過去一年以内に起業した人の男女別年齢構成の推移です。
グラフを見ると男女ともに「60歳以上」の比率が段々増えてきていることが分かります。
2012年時点で、過去一年以内に起業した人のうち、男性で35.0%、女性で20.3%が60歳以上になっています。少子高齢化の進展で、そもそも人口に占める若年層の比率が下がっていますから、それが起業家の年齢にも表れていると見て良いでしょう。
また、女性に比べると男性の方が起業年齢が高めになっている点にも注目です。男性の場合サラリーマンを定年退職した後に、セカンドキャリアとして起業を選択している人が女性に比べて多いためであると考えられます。
年齢を理由に起業をためらっている方はもっと自信を持つべきです。多くの起業の先輩たちは、60歳を超えてからチャレンジしているのです。
起業を考えたきっかけ
次に、起業に関心を持ったきっかけについてのデータを確認します。
上の図は、男女・年代別に見た、起業家が関心を持ったきっかけの上位5つです。
まず男女別という観点で大きく見てみると、男性は「周囲の起業家・経営者の影響」や「勤務先ではやりたいことができなかった」という理由が上位に上がっています。起業家や経営者への憧れや、やりたいことの実現といった、個人の内面的なモチベーションに動かされている様子が分かります。
一方、女性は「周囲(家族・友人・取引先等)に勧められた」や「家庭環境の変化(結婚・出産・介護等)」といったきっかけが上位に来ています。周囲の人々の協力を得やすい状況や家庭環境が起業のきっかけになっており、男性より調和的、あるいは現実的な状況での起業スタイルを重視していることが読み取れます。
また、年齢も加味して考えると、男性は60歳以上になると「周囲(家族・友人・取引先等)に勧められた」が2位に浮上しており、退職後のセカンドキャリアとして家族や友人の協力を得ながら起業していることが推察されます。
女性では60歳以上になると「勤務先ではやりたいことができなかった」や「事業に活かせる免許・資格の取得」が浮上しており、50代以下の世代に比べて個人的なきっかけを重んじている向きがあります。
最後に、このデータで私が注目していただきたいのは、男女ともにすべての世代で「事業化できるアイデアを思いついた」が起業のきっかけとして重視されていないことです。
「起業するからには何か良いアイデアが無いといけない」というイメージを持っておられる方が多いと思いますが、このイメージと現実とのギャップが、多くの起業志望者を夢の実現から遠ざけてしまっている一つの原因になっていると考えています。
詳しくは「起業に優れたアイデアが必要ない5つの理由」という記事で書いていますが、起業において「優れたアイデア」にこだわる必要は無いのです。
まとめ
マスコミで取り上げられる華々しい起業家には若い世代が多いため、「起業は若い人がやるもの」というイメージが作り上げられつつありますが、実態は男女ともに「60歳以上」の比率が段々増えています。誰でも、いつでもチャレンジできるのです。
また、起業のきっかけとしても「優れたアイデア」は重視されておらず、自分の夢を追いかけたい気持ちや、周囲の人の温かい支援の方が重要であることも確認できました。
ぜひ起業の本当の姿を知って頂き、自信を持って一歩踏み出して頂きたいと思います。