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起業するためには革新的で優れたアイデアが必要だと考える人がたくさん居ます。しかし、私は全く逆のこと、すなわち「起業に優れたアイデアは必要ない」と考えています。いや、「革新的なアイデアを持つ起業家ほど失敗しやすい」とさえ言えるかもしれません。

今回は、起業に優れたアイデアが必要ない理由を考えて行きましょう。

失礼を承知で書きますが、きっとあなたは「普通の人」のはずです。普通の家に生まれて、普通に学校を卒業し、普通に働いている・・・。

あなたは起業を志すくらいですから、普通より少し良い学校を卒業していたり、普通より良い業績を挙げているかもしれません。しかし、世界一の何かを持っている訳ではないでしょう。あなたは(そしてもちろん私も)「普通の人」です。

そんな普通の人が「優れたアイデア」を思いつくことができるでしょうか。可能性はゼロではないですが、とても低いでしょう。「いつか優れたアイデアを生み出して起業するんだ」と意気込んでも、おそらくその日は来ません。優れたアイデアを待っていては、いつまで経ってもビジネスを始められないのです

先輩起業家たちの大多数も普通の人ですが、「優れたアイデア」の天啓を待つのではなく、あるタイミングで「えいやっ」と思い切って踏み出したからこそ起業家になったわけです。

初心者

どんな起業家でも、最初は経営の初心者です。

ビジネスを軌道に乗せるには様々な知識が必要です。「お客さんってどうやって集めたらいいんだろう?」「備品ってどこから買うの?」「税金の計算ってどうなってるんだろう?」・・・。実際に起業すれば、毎日が疑問と挑戦の連続です。

さて、そのようなビジネスを生み出す苦労をまだ経験していない人が思いつくアイデアが、本当にビジネスとして「優れたアイデア」である可能性はどれくらいあるのでしょうか。

多くの起業家は、「誰かのマネ」で起業しています。マネをするのですから、当然うまくいっているビジネスモデルを参考にします。初心者である自分が思いついたことに縛られるのではなく、上手くいっているモデルを素直にマネした方がうまくいくと思いませんか?

説明を聞いてくれない

起業して会社の看板を失うと、驚くほど他人は自分の話を聞いてくれないことに気づくでしょう。お客さんも金融機関も、何のブランド力も無いビジネスに付き合っている暇は無いのです。

起業して最初の段階では、「手短に」「分かりやすく」自分のビジネスを説明しなければなりません。しかし、「優れたアイデア」は往々にして説明に時間がかかるものです。そのアイデアが本当に斬新であったとしても、今までに無かったものの魅力は「分かりづらい」のです。

あなたの家のご近所にも、きっといくつか個人経営の喫茶店やレストラン、美容室があると思います。「喫茶店」「レストラン」「美容室」のどれもありふれたビジネスモデルですが、それでもお客さんが入っています。これが、何を売っているのか分からないお店だったらどうでしょうか?

ありふれているからこそ、お客さんも安心してお店に入れるということもあるのです。

こだわりすぎてしまう

「これはイケる!」というアイデアが思いつけば、それにこだわってしまうのが人情です

そのアイデアが上手くいかないことが分かってきても、「もう少しやれば成功するんじゃないか」と考えて、損失を膨らませてしまうでしょう。

起業家の大きな強みの1つは、何度でも起業できることです。あるビジネスの芽が出なければ、大きな損失を抱える前に撤退し、また次のビジネスを始めることができます。

「優れたアイデア」にこだわると、起業家の強みであるフットワークの軽さを活かせません。次のチャレンジのために必要な資金まで「優れたアイデア」に注ぎ込んでしまえば、そこで終わりになってしまいます。

誰かのマネ+ローカル性でうまくいく

「そうは言っても、良いアイデアが無いと成功できないじゃないか」と、そろそろ反論したいお気持ちになっているかもしれません。

これが、良いアイデアが無くても上手くいくのです。誰かのマネを、それがまだ無い、あるいは、まだ少ない場所でやれば良いだけです。あなたのご近所の喫茶店は、「喫茶店」というありふれたビジネスモデルに、立地のローカル性をプラスしているから経営が成り立っているのです。

「ローカル性」というのは、何も現実の立地にこだわる必要はありません。「まだあまり普及していない業界」「まだライバルが少ない顧客層」など、何でも良いのです。

「優れたアイデア」をひらめくまで待ったり、それにこだわったりしなくとも、誰かが上手くやっているアイデアにローカル性という工夫をプラスするだけで、きちんと起業は成功できるのです。

まとめ

以上、起業に優れたアイデアが必要ない理由を説明してきましたが、ご納得いただけたでしょうか。

起業に必要なのは優れたアイデアではなく、一歩踏み出す勇気なのです。

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