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ホームページには様々なコンテンツを掲載することができます。

今回はオーセンティシティ・マーケティングと呼ばれるマーケティング手法を概観し、その代表的な施策である「ストーリー」について解説します。

自社のホームページに載せるコンテンツとして「ストーリー」を用意することを、ぜひ検討してみてください。

ストーリーは会社沿革とは全く異なります。

例えば歴史のあるビジネスであれば、創業以来どのような理念で事業を行ってきたのか、どのような人々が、どのような思いや葛藤をいだきながらビジネスに携わってきたのかなど、読む人の心に響くようなコンテンツが、ここで言うストーリーです。

ベンチャーや創業期のビジネスでも、創業者の思いや大切にしている理念に着目することでストーリーを作成することができます。

ストーリーを発信する目的は、誠実で真摯なブランドイメージの構築をすることにあります。これは、オーセンティシティ・マーケティングの取り組みの一つとして位置づけることができます。

オーセンティシティ・マーケティング

オーセンティシティ・マーケティング(Authenticity Marketing)とは、オーセンティックな(Authentic:信頼できる、真実らしい、誠実な)ブランドイメージの構築を促すプロモーションを行い、競合他社よりも自社のブランドの好感度を高めるマーケティング手法です。

オーセンティシティ・マーケティングのコンセプト自体は新しいものではありません。要するに「誠実で真面目な商売をやっています」ということをブランド力につなげましょうということですから、どちらかというと古典的な手法といえます。

ではなぜ、わざわざオーセンティシティなどと仰々しく言っているのかというと、近年のデジタルツールの普及によって、今まさにビジネスの「誠実さ」がマーケティング的な価値を持つ状況になっているためです。

パソコンやスマートフォンが普及する前は、新聞やテレビによるマス広告が、消費者の主な情報源になっていました。企業から消費者に向けて一方的に広告が行われており、消費者側で「その広告は過大広告ではないのか」を判断する方法は非常に限られていました。

ところが、デジタルツールが普及して、ブログやSNSによって口コミ情報が簡単に共有されるようになった現在では、事実を誇張した広告を行ってもすぐに消費者に見抜かれてしまいます。広告の真偽を見抜く力を身につけた消費者は、誇大広告を行う企業に対して悪評を共有することでペナルティを課す一方で、誠実にビジネスを行う企業を消費者みずからが発見し、そのビジネスに関するいい評判を共有することで応援するようになりました。

このような環境下では、巨額の費用をかける必要があるマス広告よりも、自社のオーセンティシティを消費者自身に共有してもらった方が、少ない費用で大きなブランディング効果を得られる場合が出てきます。

この「消費者の力」に注目し、改めて誠実なビジネスの強みを見直そうというのが、最近オーセンティシティ・マーケティングが議論されている背景にあります。

自分のビジネスへの情熱を語ろう

オーセンティシティ・マーケティングを実践する際の代表的な手法が、事業や製品にまつわるストーリーを発信することです。

ストーリーは、読んだ人の共感を誘うような、人間味のある内容であることが望ましいです。決して、上辺だけ取り繕った宣伝にならないように注意してください。そのストーリーを広めるかどうかは消費者が決めることです。ストーリーに偽装した宣伝など、誰も共有したがらないでしょう。

ストーリーの作成においては、創業者自身が経営を行っているベンチャーや個人事業に強みがあります。自分自身がそのビジネスを始めるに至った経緯と、場面ごとの内心の葛藤を情熱を持って語れば、共感を呼ぶストーリーができあがる可能性が高いと言えます。

オーセンティックなブランド形成のための注意点

オーセンティシティ・マーケティングを行う際の注意点ですが、発信するブランドイメージが事業の等身大の姿になるように、くれぐれも注意してください。現代の消費者は、企業が発信するメッセージのウソを見抜く力を持っています。誇大広告は早晩ウソがばれます。

また、発信するストーリーの内容が、製品の価格帯やイメージ、広告の内容などと矛盾しないように注意する必要があります。経営戦略が全体として整合性を持っており、発信するストーリーの内容が他の情報のどれを取ってきても一貫性を保っているということが重要です。一貫性のないメッセージを発信してしまうと、消費者はそのストーリーが本気で語られたものではないと判断するでしょう。

まとめ

ホームページを使った集客施策の一環として、事業や製品についてのストーリーを掲載することで、誠実で真面目なビジネスを行っているというブランドイメージを構築し、消費者自身に共有してもらうことが期待できます。

ストーリーの発信はオーセンティシティ・マーケティングという手法の代表例の一つです。近年のデジタルツールの普及によってマス広告のウソを見抜く力を身につけた消費者に着目し、事業の等身大の姿を偽り無く伝えることで消費者と友好的な関係を築き、消費者自身のネットワークによって宣伝共有されることを期待するのが、オーセンティシティ・マーケティングの考え方です。したがって、ストーリーはビジネスの本当の姿を語っている必要があります。

今後、デジタルツールやウェブはますます便利になっていき、消費者の力は増していくでしょう。消費者を恐れたり、騙そうとしたりするのではなく、等身大の姿で協力関係を築けるか否かが集客の成否を決める傾向は、どんどん強くなっていくと考えられます。

であれば、今から「誠実な集客戦略」に取り組むべきだとは思いませんか?

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