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今の仕事で経験を積んで独立開業しようと考えた時、やはり成功させるための秘訣が知りたくなります。本やネット上で、様々な立場の人が様々な秘訣を発信していますが、ここでは統計データを使って、独立前の仕事との関係性という切り口から考えてみましょう。現実の数字を知ることで、独立開業の戦略を考える確かな基盤が得られるはずです。

中小企業庁「小規模企業白書2017年版」では、起業後の成長パターンを「高成長型」「安定成長型」「持続成長型」の3つに分類した統計データを公表しています。今回はこのデータを使って、独立開業を成功させる秘訣を探ります。

起業後の成長タイプのイメージ

独立開業前の就業期間

「独立する前に今の職場で経験を積んで、必要なスキルを身につけよう」という考えは、独立を目指す中で誰しも考えることです。しかし、じっさい何年くらいの「修行期間」を勤めればよいのでしょうか。さっそく、データを確認しましょう。

成長タイプ別に見た、起業前の就業先での就業期間グラフ

上のグラフを見ると、全体では「10年以上」がちょうど50%となっています。しかし、よく見ると「高成長型」から「持続成長型」に向かうにつれて、全体的に長い就業期間が占める割合が大きくなっていくことが分かります。つまり、高成長型企業の創業者は、持続成長型の創業者に比べて短い修行期間で独立開業に踏み切っている傾向があるということです。

高成長型を目指すのであれば、意図的に修行期間を短く設定し、集中してスキルを磨くのが良さそうです。

独立開業前の会社との取引

独立前に勤めていた会社を最初の取引先にできればスタートダッシュできそうな気がしますが、実際はどうなのでしょうか。

成長タイプ別に見た、起業前の就業経験と起業の形態グラフ

上図では、どの成長タイプでも「退職した企業とは取引関係を持たない形で起業」が60%超になっており、独立開業の先輩たちの多くは独立前の会社に頼らずに自分のビジネスを始めていることが分かります。

また、高成長型に比べて持続成長型の方が、独立前の会社とのコネクションが強い傾向にあることが読み取れましたでしょうか。

独立開業した創業者の悩みは決まっていて、「いかに販路を維持拡大するか」と「資金繰りをどうするか」の2つです。この「販路の維持拡大」について、独立時に前職の会社が取引先になってくれれば心強いですが、一方で、前職の会社がずっとお客さんになってくれる保証はありません。ある時取引を打ち切られてしまえば、それまでマーケティング活動を甘く見積もっていた分だけ苦労することになるでしょう。

最初から、独立前の会社に頼らなくても経営がなりたつ仕組みを考えておくべきです。

修行にふさわしい会社規模とは

学生の方や、転職を考えている方にとっては、「将来独立を考えた時に、どのような会社に行くべきか」というのは重要な問題です。ここでは、会社規模の観点からデータを見てみましょう。

グラフは、成長タイプ別に起業前に勤めていた会社の従業員規模別の構成比を表したものです。高成長型に近づくにつれて「301人以上」の比率が高くなっていくことが分かります。

可能であれば大規模な会社に就職し、充実した従業員教育を受けたり、高度な技術やノウハウを習得したりするのが、独立後のパフォーマンスを高めるために有効そうです。

まとめ

以上、独立開業を成功させる秘訣について、独立前の会社を切り口にして探ってきました。

もちろん、独立開業したら必ず高成長型を目指さなければならない訳ではありません。しかしながら、小規模に留まっているビジネスの存続は常に危険にさらされます。せっかく独立したのですから、規模を大きくして経営を安定させ、長くビジネスを行いたいものです。

データから読み取れる起業家の姿を参考にしつつ、ご自身の独立のチャンスを逃さないようにしてくださいね。

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